1990年に<時の車輪>シリーズ第1巻『竜王伝説』はアメリカで刊行されました。その後『竜王伝説』は16カ国に翻訳され、全世界で800万部を越す大ベストセラーになりました。
70年代のトールキン『指輪物語』、80年代のエディング<ベルガリアード><マロリオン>シリーズにつづき、90年代の名作として名を残す<時の車輪>シリーズ。
この壮大な物語に寄せられた海外の書評、同じベストセラー作家から寄せられた賛辞、パブリッシャーズ・ウィークリー誌(1998年11月2日号)の記事を紹介いたします。
 
 


●ベストセラー作家からの賛辞
●パブリッシャーズ・ウィークリー誌
        (1998年11月2日号)より

 
     

海外の雑誌・新聞の書評

 ジョーダンは、トールキンが開拓したファンタジイの世界を、完全に支配下に収めた。息をもつかせぬ戦闘シーンには、臨場感がみなぎっている。善の内部に潜む悪、確実に見えた作戦の思わぬ落とし穴、予想外の出来事に端を発する猛攻撃。これらはすべて、アメリカという国家そのものが過去30年間にくぐりぬけてきた経験を、如実に再現したものといえる。
ニューヨーク・タイムズ

 ジョーダンには、ありふれた題材を華麗に開花させる才能がある。『竜王伝説』という、多面的な視野を持った力強い物語で、その技はいかんなく発揮されている。宗教的、政治的対立が飾り物でない現実を映し出し、都市や王宮が壮麗な雰囲気を演出する。女性の果たす役割の大きさも、注目に値する。狂気に染まることなく魔法を操ることができるのは、女性だけという設定なのだ。さらに傑出しているのは、「時の車輪」という構想だ。魔力を持つ「竜王」が、何度も生まれ変わっては暗黒の敵と対決するという設定は、実に独創的だ。
 たくさんの登場人物も、個性的な人間ばかり。その冒険も多様、かつ魅力的で、呪われた町での戦闘から、王族との偶然の出会いまで、何でもありといっても過言ではない。物語は、壮絶な最後の闘いから、感動的な結末へとなだれこむ。続篇で語られることになる伏線が、いくつも手付かずで残されているにもかかわらず、『竜王伝説』は単独でも十分に読みごたえのあるファンタジイ叙事詩である。
ローカス

 主人公たちの旅を描く過程で、著者は昔ながらの対比を効果的に用いている。玄人と素人、善と悪、女性の霊的能力と男性のそれ。主人公たち自身も、微妙な陰影をたたえている。全世界を揺るがす戦いに放り込まれたものの、人間くさい欲望や恐怖を捨てされずにいる、ごく普通の人間たちだ。
 この緻密に練られた寓意的ファンタジイには、トールキンの作品を彷彿とさせる強烈さと暖かさがある。
パブリッシャーズ・ウィークリー

 最後まで止められない。ロバート・ジョーダンの力量は、たいしたものだ。3日も連続で寝不足にさせられるような本には、めったにめぐり会えない。スリルは最後まで衰えず、意外性と創造性も、随所にちりばめられている。まさに脱帽。胸躍る気分を味わった。
アイザック・アシモフズ・サイエンス・フィクション・マガジン

 ファンタジイ作家が絶えず直面する問題のひとつに、いかにして読者を作品中の人物に感情移入させるか、というものがある。ファンタジイの世界が現実界とかけ離れている以上、この問題は避けては通れない。ジョーダンはこれを、登場人物どうしの複雑な関係を描くことによって、巧みに解決してみせた。それぞれの人物を個性的な、現実感のある人間に仕立て上げたのである。悪役たちも魅力いっぱいだ。空飛ぶ怪物から、いつ残虐行為に及ぶかわからない、一見ふつうの人間まで、相手に不足はない。
 続篇でどのような物語が繰りひろげられるのかは予想もつかないが、この1冊だけでも、ジョーダンを一流ファンタジイ作家の地位に押し上げるには十分である。
サイエンス・フィクション・クロニクル

「巨匠の後継者」
 J.R.R.トールキンの『指輪物語』は、ファンタジイ中興の祖であった。そしてこの作品に刺激された多くのファンタジイ作家は、自分の作品の中にトールキンの物語の要素を取り込み、それを独自に膨らませるようにもなった。その代表格が、テリー・ブルックス、ジョイ・チャント、そしてロバート・ジョーダンである。
「コナン」シリーズで知られるジョーダンは、新たに『竜王伝説』という傑作ファンタジイを世に送り出した。巨匠トールキンへの敬意が明らかなこの作品は、3人の純朴な青年が、魔法使いと戦士とともに、闇の軍団から逃れようとするうち、戦いに巻きこまれ、重要な役割を担うようになっていくさまを描いている。
 しかしこれは、単なる古典の焼き直しではない。ジョーダンは使い古されたテーマに、斬新な色づけを施している。この作品世界では、魔法は女性のみが持つ能力とされており、魔法を操る「賢者」や、強大な魔力をもつ『異能者(アエズ・セダーイ)』は、すべて女性である。主人公の3人の青年にしても、近年のファンタジイでは珍しいほどやる気がないのが、微笑ましい。なにしろ、できることなら運命を悪魔にまかせたい、などと陽気に語るのだ。もちろん、彼らの思うようにはならないからこそ、物語が成立するわけだが。
 さらに、正義を求め旅する勇者のために、いかに多くの貧しい人々が犠牲になっているかということや、闇の軍団と一口にいっても、その内部には複数の階層が存在するということにも言及しているところも、異色である。
『竜王伝説』は勇壮な大河小説の第1幕であり、続篇ではそれぞれ、新たな敵を相手とした、新たな戦いが展開されていく。最後に勝利を収めるのが3人の勇者であることは、誰の目にも明らかであろう。しかしその勝利のために彼らが払うこととなる代償は、まだ誰も知らない。
シカゴ・サン・タイムズ

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